Category: ドガ

エドガー・ドガ(1834年7月19日-1917年9月27日:享年83歳)
 
フランスの印象派の画家、彫刻家。ドガの制作の基盤はあくまでもルネサンスの巨匠や、熱烈に信奉したアングルの画風にあった。古典的手法で現代の都会生活を描き出すことから、ドガは「現代生活の古典画家」と自らを位置付けた。ただし、ドガも他の印象派の画家たちと同様、浮世絵、特に葛飾北斎の影響を強く受けていることが小林太市郎によって指摘され、日本におけるジャポニスム研究の発端となった。ドガの作品には室内風景を描いたものが多い。初期の作品は海辺の情景などであったが、1870年代後半のモノタイプによる一連の作品では客と娼婦たちの姿が多く描かれた。そして1880年代半ば以降のパステル作品では、そうした特定の逸話的な場面でなく、閉ざされた部屋で黙々と日々の身づくろいに精を出す女の姿が描かれていく。野外の風景を描いたものは、競馬場など人々の多く集まる場所に限られ、ドガの関心の対象は徹底して都会生活とその中の人間であった。これにはドガが普仏戦争に州兵として従軍した際に寒さで目をやられたために俗に『まぶしがり症』といわれる網膜の病気を患っており、外に出ることがままならなかったことも関係しているとされる。殊にバレエの踊り子と浴女を題材にした作品が多く、彼女らの一瞬見せた何気ない動作を永遠化する素描力は秀逸である。写真技術にも強い関心を示し、マラルメとルノワールが並ぶ有名な肖像写真が残されている。パステル画もよくした。パステル画に関しては、銀行家だった父が負債を隠したまま亡くなった上に兄が事業に失敗して負債を抱えたため、その負債を返済するために大量に絵を描く必要があったから、という理由もある。また、晩年は視力の衰えもあり、デッサン人形として使用した踊り子、馬などを題材とした塑像や彫刻作品も残している。それらはドガの死後にアトリエから発見された。また、ひどく気難しく皮肉屋な性格のため、画家仲間との衝突が絶えなかったが、晩年はドレフュス事件で有罪を主張したために、ゾラなどの数少ない友人を失ってしまったという。